「やばい」という時こそ、人間は諸問題が見えてくるものだ。ある時溺れても、溺れたオレが楽しかった、また挑戦したいと思えたら、確実に一つ壁を乗り越えたことになる

■人生の大切なことはすべて雀鬼に学んだ ~桜井章一の超教育実践~ -竹書房-

「やばい」という時こそ、人間は諸問題が見えてくるものだ。ある時溺れても、溺れたオレが楽しかった、また挑戦したいと思えたら、確実に一つ壁を乗り越えたことになる

「今日の金村は弱かったです。
だからヒクソンのくれた石、
これを金村に託しました。
道場に逆転の流れがあったから。
金村は8000メートルのエベレスト山頂にいました。
酸素が薄い状態だったから、
一歩進むのにも苦しかった。
金村対多田。
オレからしたらどっちが来るか。
金村の力では今日はいけませんでした。
この石が裏ドラを乗せてくれました。
そうあって(金村に勝って)ほしいというオレの気持ちでもあります。
金村でもまだまだだから、
自覚しないと。
金村が負けたら俺の負けだと思っていました。
負けたら俺とヒクソンの魂が抜けるように思っていました。
今日は金村に賭けました。
みんなの知らないところでオレは脚本を書いていた。
個人的な試合を、
オレもしていたんです」

あの時金村にヒクソンの石を託したのは、
お守り的な意味じゃない。

そうじゃくて、
オレは皆でやり通してきた34期の最後に、
何かが起きてもらいたかったんだ。

一期皆でやってきたんだから、
いいことが起きてほしかった。


by. 桜井章一氏

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その前に試合があった高槻でもJrリーグでも、
勝つべき者が最後に勝ちきれないで敗れていた。

つまり逆転の流れができていた。

その流れを塞き止めて流れを変えるために、
オレはヒクソンの石を金村に託したんだよ。

あの石は、
オレとヒクソンの絆の象徴だ。


by. 桜井章一氏

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石そのものに力があるというよりも、
オレとヒクソンの感情が籠もっている。

そしてヒクソンは、
寝室からあの石を持ってきてプレゼントしてくれた。

同じプレゼントでも、
ゲストルームでくれたのと自室でくれたのとでは全然意味が違うだろう。

感情の籠もり方もまったく違う。
そういう石なんだよ、あれは。


by. 桜井章一氏

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「サメは気持ちいいな。
どんな魚よりもかっこいい。
オレはサメに食われたいな。
サメなら食われてもいいと思ってるんだ」

「オレは海に潜るのは好きだけど、
ダイビングは嫌なんだ」

「釣りも嫌なんだ。
あんな面倒くさいのはやれないね」

「人間はなーんにも与えてくれないけれど、
自然は本当にいろいろな感動をくれるよなぁ」


by. 桜井章一氏

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人間がもともと持っている感覚だけで生きているだろ。

日本人はすぐ視力を数字で表そうとするけれど、
ただ距離の離れたものが見えればいいというわけじゃない。

たとえば水面の動きを見て、
海底の潮の流れも見ないといけない。

ゴルフでも、
タイガー・ウッズは芝をちぎって風の流れを見る時に、
手元の風ではなくて300ヤード先の地点の風向きと風量を見ているはずだ。


by. 桜井章一氏

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■賢い身体 バカな身体 -講談社- 自然は毎日、変わる。勝負も同じです。その場の瞬間、瞬間の感性で動いていく。恵みっていうのは、自然か...

その辺に来ると、
ボールには勢いがなくなるから一番風の影響を受ける。

水面の動きで潮流を見抜いて、
魚の通り道を教えてくれる。

大自然の中に入っていって、
細々とオレの中に残っているそういう感覚を使っている自分が好きなんだ。

感覚を研ぎ澄ますなんてことじゃなくて、
自然の中に入ればおのずとその感覚を使うようになる。


by. 桜井章一氏

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海という大自然に我が身を入れさせてもらって、
自然の中で本王が求めるまま動いて、
波とたわむれる。

「(麻雀に必要なのはインテリジェンスですか?)
いや必要なのは身体です。
頭より身体が必要なんです。
いかに身体を柔らかく使えるか。
いかに無駄な力を抜くか。
そこがポイントです」

「オレは自然に救われてきたんだ。
美しい自然を眺めるのではなくて、
自然に溶け込めば自分の責任で生きていかないといけない。
自然の中でこそ人柄が出てくる。
正直になれる。
麻雀だけやっていたら、
オレはきっと腐っていたよ。
雀鬼会のメンバーもこの自然を知ることで、
麻雀にはない深みを知ったはず。
自然の中で生き返っていくんだよ」

オレには、恐怖のほうに向かおう向かおうという志向がある。


by. 桜井章一氏

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人は自然の中に入ると、
必ず恐怖を感じるものだ。

それを乗り越えるためには、
安全の方向に向かうのではなく、
恐怖の方向に進んだほうがいい。

海の中でも一番恐怖なのはサメだから、
オレはサメが一番好きだ。

オレにとって快感なのは、
見えないところからサメがぬっと現れる瞬間だ。


by. 桜井章一氏

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■「頑張らない」から上手くいく -講談社- 枠にはまらず、入ったり出たりを繰り返していくと、人間が元々持っていた生命力や五感のようなも...

「やばい」と思う瞬間。
でもオレにはそれが快感なんだ。

「やばい」という時こそ、
人間は諸問題が見えてくるものだ。

安全な状態で考えている諸問題なんて机上の学問みたいなもので、
現場で起こる「やばい」ことからのほうが確実に何かを学べると思う。

恐怖心、勇気、身体的な欠陥、
身体能力、瞬発力、瞬間的な思考力、
あるいはその時周囲にいる仲間とのチームワークも試される。


by. 桜井章一氏

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やばかった時のほうがあとあとまで記憶に残っているだろ。

やばかった時のことを話せないようじゃトラウマになっている証拠だけれど、
いい思い出にできた時に「やばい = 楽しい」
という感覚になるんだ。

ある時溺れても、
溺れたオレが楽しかった、
また挑戦したいと思えたら、
確実に一つ壁を乗り越えたことになる。

その感覚が大切なんだ。


by. 桜井章一氏

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<その瞬間(亀(タイマイ)をゲット)はときも忘れ、
呼吸も忘れ、亀の重たさも忘れるほどの感動が起きている。

その瞬間、
人としての感覚の壁を超え、
本能に少しだけ近づけた。

その感覚がさらなる感動を呼んだ。>

オレは酒を飲まないから、
たとえ女の子が隣にいても大人の遊びにはならない。

酒が飲めないのはよかったのか悪かったのかわからないけれど、
オレにはその遊びは与えられなかった。

その代わり、
自然の中で子ども時代の遊びをするとこんなに面白いぜ、
こんな冒険ができるぜと、
あいつらに身体を張って教えたかったんだ。


by. 桜井章一氏

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■20年間無敗の雀鬼が明かす 「勝負哲学」 -三笠書房- 敵にどうぞ言えるときが本当の余裕なのだ。自分の可能性とか限界を決めているのは...

でもオレは賭け事を禁止にしたわけじゃない。

そういう奴に対しては
「よし、オレと勝負しろ」
と言って、
10本全部勝って金を巻き上げた。

そんなことが続いたら、
誰だって賭け事なんてやらなくなる。

「辞めろ」と言うよりもずっと効くんだ。


by. 桜井章一氏

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岩場の裏側に回り込むと、
潮の流れが強くて波が渦潮のように真っ白になっているんだ。

その大波に飲まれまいとして岩場に逃れようとすると、
却って身体を持って行かれて岩場のフジツボで血だらけになる。

そういう時はあえて波の下に潜って、
ワカメにしがみつくといいんだ。

ワカメは強いから、
しがみついていれば波に身体が持っていかれることがない。


by. 桜井章一氏

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自然の中では、
危険なほうに身を持って行ったほうが安全なこともある。

逆に助かるほうに行くとやばかったりもする。

やばいほうに身を置いたほうが冷静になれて、
助かることもあるってことを、
自然の中で知っていくんだ。

オレは魚の行動習性を知っているからだ。


by. 桜井章一氏

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夕方になると小魚が浅瀬に寄ってきて、
それを追ってボラがあの辺りにやってくることを知っているから突けたんだ。

あるいはタコを獲るなら夜中がいい。

タコの餌になる貝が浅瀬にやって来て、
それをタコが追ってくる。

人間にも食事のリズムがあるように、
魚にもそれがある。


by. 桜井章一氏

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そういう魚の習性を知っていれば5分で突くこともできる。

そのタイミングを間違えなければ、
魚を獲る確率もうんとあがるということだ。


by. 桜井章一氏

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