■雀鬼と陽明 ~桜井章一に学ぶ心の鍛え方~ -三五館-
どんなときでも揺れないという心の持ちようが救いの道になる。勇気と慎重さを同時に出せたときがベストである。相反するものが同時に出せたとき真に強くなる
麻雀は、レベルが低い人ほど運の勝負になる。
桜井がいう「天運」に頼る勝負になる。
が、レベルが高くなればなるほど、
天運が入りにくくなり、
自力(地運)の勝負になる。
いつ来るか分からない天運に頼っていては、
負けてしまう。
麻雀のテクニック、
自力がある者同士の戦いでは、
何が勝敗を決するかといえば、
「心の持ちようである。
どんなときでも揺れないという心の持ちようが救いの道になる」
というわけで、
桜井にいわせれば、
「揺れない心」「平常心」
が出来ているか出来ていないかが、
非常に重要になってくる。
by. 桜井章一氏
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「死のうと思ったら怖いもんはなくなるんだ」
<覚悟していたとおりになってきたな。
人間、じたばたしたって死ぬときゃ死ぬんだ>
<ああ、殺るなら殺ればいい。
こんなところで麻雀に負けるんだったら、
死んだほうがましだ>
by. 桜井章一氏
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<もし麻雀で負けることがあったら、
もう東京にはいられない。
負けたらこれで最後だ。
俺のすべてはない>
「いま八回戦がはじまったばかりです。
あと二回残ってますよ」
「ぼくは実践派ですからどちらかというと武者修行が先。
武者修行を何年も続けてきて、
生き延びて引退した後、振り返ってみると理論がくっついてきた」
by. 桜井章一氏
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「私の思考からすれば、
攻撃も守備も単独のものではなくて、
相反するようには見えるが一緒でなくてはならない。
したがって攻撃も守備も年がら年中はっきり分離することなく、
くっついて行動しているのである。
いわゆる攻撃型でもなく、
守備型でもない、
合一型が最もベストの戦い方であると思っている」
by. 桜井章一氏
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「勇気と慎重さを同時に出せたときがベストである。
相反するものが同時に出せたとき真に強くなる」
桜井は、「情けないことをしない」
をモットーに、
誠実に生きてきた。
by. 桜井章一氏
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「自然はつねに真実で、
つねに真面目で、
つねに厳格です。
自然はつねに正しくて、
過失や誤りはつねに人間にあります。
これを知らない人を自然は軽蔑し、
これを知った真実で心の浄らかな人にだけ、
自然は胸を開いて、
秘密を打ち明けてくれるのです」
by. ゲーテ氏
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「時に私も心が弱くなってしまうことがある。
そんな時麻雀を打つと、
情けない程弱い。
卓上に世上の弱さを引きずっているからです。
麻雀を打つ際、
心の状態は必ず卓上に反映される。
人は何とかして麻雀をごまかそうとするが、
牌には決して己れを隠せない。
牌はきちんと私を知っていて、
何時も私の心をそのまま表現する。
私が苦しいのか、
寂しいのか、
嬉しいのか、
楽しいのか、
必ず的確な答えをくれる。
もしかしたら、
牌の中には神様が隠れているのかもしれないと、
ふと思うことさえあるほどだ」
by. 桜井章一氏
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「愛には交換条件はない。
すんなり与えるだけでいい」
「口をきくということは、
計るということなのです。
計るなどということはできないんですね。
人間、淋しいから、
人間の弱みが出てくるから、
人としゃべりたいというのがあるわけなんです。
安心したいってのがあるんですね。
結局、僕らはそういう強い人間とはしゃべれないんですね」
by. 桜井章一氏
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「勝負事をやっててしゃべってくる奴は、
きっとどこかで助けてくれっていってるのと同じだ」
「裏プロといわれる人になると、
配牌の偶然性なども当然読みに入れる。
そして、つぎの一局は誰が和了って誰が振り込み、
その時の点棒の移動はいくらか、
まで分かるのである。
つぎつぎの局に、
自分が二千点を振り込むということまで分かってくるのである。
だから、ロン(和了った)といわれる前に二千点を卓上に出しても、
まちがうことはまずなかった。」
by. 桜井章一氏
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「それに、あと一分したらトイメンがタバコを吸うな、
という読みもしたし、
あと二口吸ったらもみ消すな、
という麻雀以外の動作や無意識の癖みたいなものも、
すべて麻雀の読みの対象であった。
現役の最後の頃、
新宿のフリー雀荘の東南荘で打っていたときは
(いま雀鬼会ジュニアの三浦君も同卓だった)、
始める前にその日の順位を、
前もって私が一位から四位まで当てていた。
もちろんその順位が一度たりとも違ったことはなかった。
このように、麻雀とは必然性と偶然性とが入り混じっているのである。」
by. 桜井章一氏
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「しかし、一般にはこの偶然性を読むということは至難の技である。
これを身に付けるためには、
重厚な麻雀実践体験や分析力が必要だし、
偶然を少しでも読み取るためには、
予知能力が必要になってくる。
人は皆、
程度の差こそあれ、
この能力は本能的に持ち合わせているはずだが、
世の中、進歩すると、
こういった能力は心の奥深くに潜り込んでしまうようである。
原野に生きる動物や人間にとって、
自然や危険に対する予知能力は、
生きるための必要条件だったろうし、
素晴らしい技を持つ職人さんや芸術家達も、
技術以前の勘の良さが普通の人より数段優れている人達であると思う」
by. 桜井章一氏
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桜井は、危うく麻雀で身を滅ぼしそうになりながらも、
じつは麻雀に助けられたのである。
桜井を救ったのは、
彼の生きざまの清々しさ、
男らしさが人びとの胸を打ったからに違いない。
殺しを平気でやるような強面のヤクザ者たちにも、
桜井はなぜか気に入られた。
by. 桜井章一氏
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「盲牌なんかして、
牌を強く握るから、
牌が痛い痛いって泣いているんですよ。
牌を持つときは、
二本の指で触れてるか触れてないかの感じでやさしく持つんです」
by. 桜井章一氏
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「君らは<力強く打て>といわれると、
全身を力ませ、
持ってくる一牌一牌に力を込めてしまうだろう。
でも、それじゃただの乱れ打ちなんだよ。
表面的な力だけを優先させようとしているため、
結果的に心のバランスを崩してしまう。
この状態を<心が揺れる>というのだよ。」
by. 桜井章一氏
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「牌だってギューと摑まれりゃ、
苦しくって仕方がないやね。
<溺れる者はわらをも摑む>じゃないけど、
そういう人達は牌の流れに逆らって溺れちゃってるから、
ギューっと牌をツモっちまうんだ。
牌の作る流れに乗りたいと思ったら、
人が牌を操ろうとするんじゃなく、
神様に素直に身を任せようとすることが大切なんだよ」
by. 桜井章一氏
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桜井も生身の人間である。
怖くなって勝負から逃げ出したいと思ったり、
受けたことを後悔することもあった。
しかし、そうした弱気の気持ちを心から閉めだすと、
今度は、<やってやろうじゃねえか>という気力が満ちてきた。
そういうことを交互に繰り返しているうちに、
勝負に臨む項には、
心の平安を取り戻し、
「揺れない心」を維持できるようになっていたのである。
by. 桜井章一氏
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桜井は、二つの提案をした。
一つは、新品の封印つきの牌を用意すること。
相手の場の、
それも料亭とくれば、
使い込まれている象牙の高級牌が用意されているのが普通だった。
古い象牙の牌には、
小さな傷や摩耗した部分があって、
馴れた人ならひと目でそれと分かるのである。
もう一つは、
ゲーム中の観戦は誰一人認めない、
というものであった。
外ローズ(回りからのサイン)の場合は、
背後にも気をくばらなければならないので、
緊張が通常の倍になるのだ。
料亭では、座卓の下に薄い布団が敷かれていた。
初夏とはいえ、
朝方は冷える日もあるので敷いたのだろう。
座れば足が隠せて、
エレベーター(牌を四~六枚ハンカチなどに隠し持っていて、
必要に応じて手牌と入れ換える)
をやる奴が出ないともかぎらないかった。
桜井は、布団を取り払った。
by. 桜井章一氏
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