■雀鬼と陽明 ~桜井章一に学ぶ心の鍛え方~ -三五館-
誇大イメージが、すごく人間を邪魔しているんです。一番大切なことは、いま出来ることをやるということなんです。夢や希望っていうのは、身近に置くものなんです
「一週間や一ヵ月で解決する問題ならいいけど、
一生もしかしたら……、
という荷物を背負い込むとしますね。
その一生の荷物のために、
人間というのは一緒になってつぶれていくんです。」
「考えすぎたり悩んだりすると、
たいていそうなる人が多いわけです。」
「<俺には、そういうことは絶対に出来ない。
一生の荷物をかつぐのは俺しかいないんだけど、
つぶれちゃいけないんだ。
絶対に流されないぞ。
悩まないぞ、苦しまないぞ>
そう思ったんです」
by. 桜井章一氏
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「私は普通の家庭の中に、
彼がいるんだって見方をしてるんです。
障害者だ、障害者だなんて(神経質になってたら)、
自然に自分も障害者になっちゃうんですよ。」
「そこに、女房たちは負けてくるわけです。
障害児っていうのは、
育てりゃ育てるで心配が増えるだけなんですね。」
「普通の子もそうかもしれないけれど、
世間的にいえば、
何の見返りもないわけでしょ。
だから面白いよ。」
「寝ないで一生懸命働いて、
育ててやったって、
何も見返りがないんだから。
その子にかぎらず、
他の子どもたちにも見返りを求めることはできないんですよ。」
「いまこれだけお父さんやってあげてんだから、
あとでお前たちお父さんお母さんの面倒みてよなんて、
そんなこといえないんですよ。
逆に、次男が大きくなればなるほど、
問題が、
不安がどんどん増えてくるんです。」
「だから、無なんです。
無をどれだけ継続出来るかという発想になってくるんです。」
by. 桜井章一氏
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「でも、世間の親というのは、
全部自分たちの期待を込めて働くわけですよ。
この子のためにといいながらね。
でも、実際、期待を込めて働けるわけです。」
「親の期待に子どもたちが応えてくれれば満足するし、
応えてくれなきゃヒステリックになるというだけのことであって……。
私と女房の場合は、
全部が全部、
最初からヒステリック材料なんですよ。」
「自分がヒステリックになったら、
誰がだめになるのかといえば、
私がだめになるに決まってるわけです。」
by. 桜井章一氏
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「そういう材料を与えられたんだけれど、
逆に無のものに対してどこまでがんばれるかということをやり通せば、
たいていの人間はすべて有を追ってるんだから、
そうすると本当の力というのが分かると思うんです。
(息子が障害を背負ったことが分かったときに)
決めたんですよ。」
「こういう子は、
どうせよそに生まれるんだろうから、
私のところに生まれてきてよかったんじゃないか。
よそに生まれるより、
私の家に生まれたほうがよかったよな、って。」
「だから、悩んだりしないんです。
それはそれは問題をいっぱい起こしますよ。
もう、困ったこといっぱいあるんですが、
だけど、どうってことないんですよ。」
「女房なんか、
負けそうになりますけど、
障害くらいに負けてられないんですよ」
by. 桜井章一氏
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「このメンツはいつから出来ていますか?
このウーパーソーというのは、
いつからあったんですか?」
「(これは配牌からありました)
これは死にメンツといって、
これは最後まで行かないんですよ。
だったら、こっちのメンツを頼りにして延ばすんです」
by. 桜井章一氏
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治外法権麻雀の後遺症とでもいおうか、
真剣勝負のつもりなど毛頭なかったのだが、
無意識の内にプロ意識に突き動かされてしまうのだった。
というべきか、
卓の前に座り、
牌を手にしたとき、
桜井は「心手合一」「人牌合一」の、
「麻雀三昧」の境地にあったのだ。
「今まで麻雀が悪かったのは、
あの阿佐田哲也さんが、
作家の目で、
麻雀とは人を突き落としたり、
ごまかしたり、
策略に落としたりするゲームなんだよって、
そんな描き方をしてたわけです。
阿佐田さんは、
作家としては有名でしたし、
面白い人でしたから、
読者は、そりゃあ面白い、
と思ってしまったわけです。」
「麻雀なんてしょせんギャンブルなんだから、
悪いものなんだから、
それでいいだろう、と。
でも、雀鬼流はそうじゃないんです」
by. 桜井章一氏
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目の前にいる、
桜井に麻雀で負けた男が、
責任を一〇〇%取っているのではなく、
結局負けたことによるツケは、
その男の家族にも及んでいるという事実に気づいたときに、
桜井はそれまでの思想の、
それまでの激しい生き方の転換を迫られていた。
<麻雀で一回負けました、
負けたことが恥ずかしくて死にました、
それで私はケツ(責任)を取ったつもりなのかもしれないけど、
家族たちはどうなるんだろう。
金銭的とかいうことじゃなく、
負けた犬の私の生きざまのツケが残された家族にもまわる。
私のケツの取り方は違うんじゃないかな>
by. 桜井章一氏
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<であれば、もう麻雀は打てないな。
早く、麻雀をやめなきゃならない>
<一回負ければ、死ぬんだ、
と決めていた。
死ぬってことが、
麻雀をやめるってことだったのなら、
死なないとしても、
やめるんであれば誰かに負けるしかない。
そうだ、誰か、
俺に勝ってくれないかな>
by. 桜井章一氏
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四人の中で最年長者の神様には、
噂によれば、
牌が透けて見えるのだという。
流れを完全に把握したときには、
桜井にも山に隠れた牌が見えてきたし、
相手がツモった牌も見えてしまうことが何度もあったので、
神様の場合も仕掛けなどではない、
自分と同じ、
技術を超えた感性の力の持ち主であることが分かった。
<この背景の大きさといい、
相手が最強の敵チャンプということもあり、
これ以上の舞台はない。
よし、この大仕事を俺の引退試合にしよう>
by. 桜井章一氏
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そして桜井は、
その眼光の鋭さで、
四人の中で群を抜いていた。
気合いや気迫のぶつかり合いなどということは皆無なのである。
プロの摸打は二秒以上はかからない。
タン、タン、タンという小気味のいい牌の音が規則正しく鳴り続けるだけである。
by. 桜井章一氏
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そのスピードの速さは、
コマが勢いよく回っているとき、
静止しているかのように見えることがあるが、
まるでそんな光景に似ていた。
一瞬の弛みもない緊張の連続であれば、
心に雑念の起きる余裕などなくなるのだ。
「速く打たなくちゃならないということは、
悩みが消えて、
本当の考えだけが残るようになるんです。
いわゆる忙しい人に悩みはないというでしょ。」
by. 桜井章一氏
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「雀鬼流はそれといっしょなんですよ。
暇な人に限って、
悩みが増えてくるわけですよ。」
「あるいはくだらない発想だとか……。
それを、考えてる考えてるなどといっているだけのことですよ。」
by. 桜井章一氏
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「それは、どうしてかというと、
誇大イメージを持っている、
イメージを大きくふくらましすぎているから、
それが夢であり希望だと思っているからです。
それが、かなえられるんであれば、
やる。」
「そのためには、
細々としたことは出来ない、
という発想になってるんです。
誇大イメージが、
すごく人間を邪魔しているんです。」
by. 桜井章一氏
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「かっこうつけて、
それが夢だ希望だからといってるわけです。
一番大切なことは、
いま出来ることをやるということなんです。」
「誇大イメージのために、
がんばるんじゃない、
ということなんです。
求めてないから、
そこに変な細工がないんです。
素直な努力なんです。」
by. 桜井章一氏
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「それでも、皆は誇大イメージが、
夢や希望がないと動けないと思ってるんです。
でもそれは、
今の自分の動きを狭くしているんですよ。」
「思いやりだとか、
助け合いだとか、
やさしさとか、
やることはいっぱい転がっているというのに。
<打牌は二秒以内で>
というのは、
誇大イメージを持たないための発想なんです。」
by. 桜井章一氏
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「ところが世間の教えは、
誇大イメージを持て、
夢や希望を持てと教えてしまうんです。
そのために、本当に大切なことを見落としてしまってるんです。」
「東大合格するためには、
いろんなことを犠牲にしてしまっているでしょ。
人のための犠牲ではなく、
失っているわけです。」
by. 桜井章一氏
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「そんな人たちが、
社会の上に行くわけです。
真の目標ならいいけれど、
(通常)目標の裏には、
貪欲なものが隠れているということに気づかなければなりません」
「たとえば、今から俺は総理大臣になりたいなどと思っているとすると、
総理大臣になるためのことは、
手をつけるけど、
その他の小さなことを忘れてしまうことがあるんです。
東大に行った子が、
皆そうなんです。」
by. 桜井章一氏
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「東大に入るためのことはやりますよ。
その他のことはやってないわけです。
夢や希望っていうのは、
身近に置くものなんです。」
「身近なものを、
段々一つずつクリアーしていって夢を楽しむんです。
それを遠くに置くから、
身近なものをおろそかにすることがあるんです。」
by. 桜井章一氏
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「これだったらやるけど、
これはやらないっていうのが多くなるのは、
夢や希望というのを、
天下を取った徳川家康だとか松下幸之助だとかに置いてしまうからです。
そんなの損だ、
やってられないよっとか、
そんな子たちが多くなってきて、
逆にアホなことをへ走ってる子が多いんです。」
by. 桜井章一氏
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