■いのちより大切なもの -竹書房-
日本が豊かになっても、バナナと卵はいばらずにキミたちのそばで、小さくなって座っている。キミもボクも、泣いて生まれてきたんだから、笑って生きるんだ
でもね、人が少ない所へ行くと、
お星さまっていっぱい出てくるんだよ。
不思議だね。
あぁそうか!
お星さまって恥ずかしがりやさんなんだ。
雷は神さまだ。
by. 桜井章一氏
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神さまが相撲して遊んだ結果、
ボクたち人間は、
すごい恵みをもらったんだよ。
あるとき雷は地上に降りて、
炎という形に姿を変えた。
そして寒さからボクらを守ってくれたんだ。
動物たちは逃げたけど、
人間だけが勇気を持って近づいた。
by. 桜井章一氏
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そしてその火から、
さまざまな文明が生まれたんだ。
夏の太陽が顔を出して、
めいっぱい、
キミにギラギラと照りつける。
それはたくさんの恵みだよ。
そして秋に実る。
これが自然の流れってもんだ。
by. 桜井章一氏
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太陽とお月さまは、地球のお友達。
ホントは昼もいるんだよ。
でもこっそり隠れてる。
光がもれないように抑えて、
自分のことを目立たないようにして。
きっと太陽が頑張ってるあいだ、
お月さまは遠慮してるんだろうね。
by. 桜井章一氏
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土は母さんで、水が父さん?
土は父さんで、水が母さん?
・・・・・・どっちかなあ??
うん、両方大切ってことだね。
あんな硬いもの(アスファルト)の上を歩いてると、
心も体も固くなる。
元気な人も、元気じゃなくなるよ。
by. 桜井章一氏
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だからキミは、
なるべく地に足をつけて生きなよ。
夏は自分の姿を、
太陽に向けるときだね。
東から出てくる日の出を見て、
西に沈む太陽を見送る。
もう一日中、
太陽を逃さないよ!
by. 桜井章一氏
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夏の太陽とだけは、
全身で勝負して向き合うんだ。
雨が一ヶ月降らなきゃ弱っちまう。
雨が一ヶ月降り続いても弱っちまう。
だから恵みもほどほどでいい。
朝は、みんな同じ「朝」じゃない。
朝の裏には夜がある。
by. 桜井章一氏
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幸せだなぁ、
と感じるキミの裏側にいる人は、
悲しい気持ちかもしれない。
砂はちっこい風でパッと姿を変えるね。
大人はおっきいから、変われない。
キミはちっちゃいから、変われるねぇ。
ずっと昔、
日本は戦争で負けて、
まわりになにもなくなっちゃった。
by. 桜井章一氏
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ボクは一年で一本のバナナと一個の卵が食べれた。
あのときはボクの宝の味。
日本が豊かになっても、
バナナと卵はいばらずにキミたちのそばで、
小さくなって座っている。
芋は偉い、芋は偉い、
荒れた地からでも生えてくる。
枯れた地からでも生えてくる。
ほったらかしても伸びてくる。
by. 桜井章一氏
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雑草のように生えてくる。
でも、しっかりと栄養を持ってるんだ。
ボクは芋になりたい。
(サケ)
こどもを産むときは、
絶対に自分が生まれた川に帰ってくるんだ。
ちっちゃい川に、
おっきくなったサケが戻ってくるから、
どんなに跳んでもハネても、
途中から進めなくなることもある。
by. 桜井章一氏
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それでも人間みたいに、
「だったら他の川で産もう」
なんて思わずに、
いのちをかけて、
一途に生まれた場所をめざすんだ。
そして傷だらけになりながら、こどもを産むんだよ。
そして、死んでもなに一つごみを残さない。
人間が食う。
クマが食う。
その食べ残しや、
川で死んだ鮭は、
サルや鳥が食う。
by. 桜井章一氏
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そして最後に残った、
皮や小さな骨や身は、
川の養分となって、
一匹のサケが恵みに変わる。
まったく捨てるものがないんだ。
ため息が出るほどムダがない。
みんなサケを見習ったらいいんだ。
キミもボクも、
泣いて生まれてきたんだから、
笑って生きるんだ。
by. 桜井章一氏
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あれから二年が過ぎてキミはなにかを伝えたくて、
大人には通じないことばを発しているね。
たぶん幼児語だと思うんだが。
あるとき、
海を見下ろす丘の上の一本の木を通りかかったら、
一羽の小鳥が飛んできた。
「コンニチハ、元気そうだね」
と大人のことばで語りかけたら、
その小鳥が「チッチッ」と返してくるので、
今度は鳥語で話しかけたら
「チョンチョン」と返してくれた。
by. 桜井章一氏
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それならと鳥になったつもりで、
「チッチェツゥ」と声をかけると、
同じ声が返ってくる。
そうやっていろいろな鳥語を使って、
小鳥と十分くらい話をして、
「ありがとう、楽しかったよ、またね」
と語りかけたら、小鳥は、
「サヨウナラ」
とスーッと木立の中へ姿を消した。
いまのキミの幼児語も、
丘の上の小鳥のことばもそっくりだったんだよ。
by. 桜井章一氏
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