■「一瞬の勝機」のつかみ方 ~生き方が勝ち方を決める~ -静山社-
深く考えすぎて病んでいる人は、
足の届かない海でおぼれてかけているようなものだ。
それ以上はまると、死んでしまう。
そういう人は、一度浅瀬に戻ったほうがいい。
自分の足で地面を感じ、底の様子を目で確かめ、
波の高さを目測して、平静だった自分を取り戻すことだ。
by. 桜井章一氏
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考えないとしたら、どうしたらいいか。
私の答えは、「感じること」である。
感じるほうが正解が多いと、経験としてそう思っている。
思考が入るすきをなくして、瞬間に感じる力を養うのである。
by. 桜井章一氏
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思考も人間も社会も、すべてがどう変化するか、
誰にもわからない。
わからないから不安に思う。
だが感じる力を持ち、変化を敏感に感じられさえすれば、
無用な不安を感じずにすむのではないだろうか。
by. 桜井章一氏
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現代社会は、知と技術とで成り立っている。
知は、外にあって取り込むものだから、
ある程度集中すれば入ってくる。
技術も同じで、鍛錬すれば伸びるし、
努力に応じて習得することができる。
要するに、知や技術は、つかむことのできるものである。
by. 桜井章一氏
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けれど見えないものを感じる力、感覚は、
空気とか雲みたいなもので、つかむことができない。
つかめると思ってはいけない。
その場その場で、かろうじて触ることができるかどうか、
というくらいのものだ。
by. 桜井章一氏
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彼らには、生きるための本能と行動との間に、
思考も迷いもないのである。
私は上等な人間などなりたくない。
下等動物のほうの意識を大切に持っていないと、
感じる力が減っていくような気がするからだ。
by. 桜井章一氏
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「自然体がいい」などというが、
「自然の体」になることが一番いいんじゃないかと私は思う。
自然の体に、自然の感性や本能を蓄えるのだ。
by. 桜井章一氏
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自然は、もっと強くて、もっと凄まじい。
美しいだけでも、やさしいだけでもない。
自然は、自分だけ安全なところにいて眺めていてもわからない。
いつ命ををとられるかわからないぞ、というのが自然だ。
by. 桜井章一氏
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でも本来、生きるということは、
そういうリスクと背中合わせのものだったはずだ。
魚も獣もみんな、自分の生命を保持するために、
リスクを背負って必死に生きている。
by. 桜井章一氏
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人間だけが、「リスクを負っちゃいけない」と教えられて生きるなんて、
生き物としてはありえないんじゃないかと思う。
リスクを負わずに生きるのは、
生命の法則に反している。
by. 桜井章一氏
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文明を築いてリスクを負わなくなったことで、
人間が何かを失い、傲慢になったことも、肝に銘じておくべきではないか。
身体を張って対峙してはじめて、自然が身体のなかに入りこんできて、
自然と一体化できる気がする。
by. 桜井章一氏
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だが給料をもらえば、サラリー分のしごとをすればいいじゃないかとか、
もっと自分の時間が欲しいというような思いが出てくるものだ。
金が介在しなければ真剣になれないと、
多くの人が考えている。
私は違うと思う。
by. 桜井章一氏
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人間には、「人のためにする」勝負がある。
自分のためでなく、人を生かすために自分ががんばる勝負もある
ということだ。
by. 桜井章一氏
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金は魔物だと思う。
金は人を動かす、というか狂わせるだけの、巨大な力をはらんでいる。
金は「便利」や「快楽」といった誰の目にもわかりやすいものを
買うことができる。
by. 桜井章一氏
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仮に、まったく同じ実力を持つ二人の人間が戦うとしたら、
金に執着するほうが絶対に弱い。
金が欲しい、金を取られたくないという思いが、
勝負に余計なものを持ちこんでしまうからだ。
勝負の世界に何より大切な、勘や感じる力といったものは、
いとも簡単に失われる。
by. 桜井章一氏
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