夢と現実と妄想…妄想を夢と勘違いし、妄想テレパシーを飛ばし続ける人々

■努力しない生き方 -集英社-

ある人がこんなことを言っていた。
「命は何よりも大事なものといわれたりするがそれは違う。
 その生命に何をかけるかが最も大事で意味あることなのだ」と。

しかし、そういう生き方でないと認めがたいというのはその人の趣味だろう。

命に強い意味を持たせないと生きていても仕方ないだろうという考え方は
美しい志を思わせるところがあるが、私にはそういう人生観は強い意味に
縛られ過ぎた病をどこか感じてしまう。


by. 桜井章一氏

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人生には無駄なことや意味がないようなことはたくさんあっていいと思う。

それはそれで人生に豊かな栄養を与えてくれるからだ。

不合理や無駄は、合理的に意味を求めるのではけっして得ることのできない
大きな可能性を人に与えてくれる。


by. 桜井章一氏

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意味を絶えず求めている人は意味のあるところでしか
呼吸ができないと思い込んでいるからだ。

だが、意味のないところでは
もっと深いゆったりとした呼吸ができるのである。

頭で意味を考えようとせず、感覚で動いていくのだ。
心配しなくても動いているうちに意味は後からついてくる。


by. 桜井章一氏

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実は私自身、大きな夢とか強い願望とか向上心といったものを
自分の中で強く意識することがない。

何かを発見して面白かったり、
何かがふと湧いてきていっそう楽しくなったり、
そんな気分で毎日やってきただけなのだ。

切磋琢磨して上手くなってやろうという気持ちは皆無であった。


by. 桜井章一氏

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ふつうなら仕事を通して何かを実現したいというものがあるだろうが、
私にはそんなものがなかった。

出世したいとかお金を稼ぎたいとか、
大きな仕事をして立派な人として世間から見られたいとか、
そんなものを求めようという気持ちがさらさらなかったのだ。

だから仕事を通して夢へ近づこうとか、仕事の技術を学ぼうとかといった、
何かを強く求める気持ちがなかったのだ。


by. 桜井章一氏

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自分から強く求めないのは、
ふだんからやるべきことをしっかりやっていれば、
おのずと何らかの形となり、
それなりの結果が導かれるという思いが根底にあるからである。

自分の中に何かあるとすれば、せいぜい、
こうなったらいいかなぐらいのうっすらとした思いである。

一瞬思ったら、その後は忘れてしまうような薄い思いである。

しかし、そんな感覚でいたほうが強く求めるより、
いい結果をもたらすのだ。


by. 桜井章一氏

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それと同時に私が何事も強く求めないのは、
そんな強い願望にはその先にどんな崇高な目的や夢があっても
どこか卑しさを感じるからだ。

夢という言葉はきれいな響きがあるが、
夢だって求め方によっては卑しくなるのである。


by. 桜井章一氏

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私も含めて人は絶えず、
大なり小なり何かを求めて生きていかざるをえない生き物である。

生が続くかぎり、人は求めることを止めない。
だから、求めるという気持ちは永遠に埋まることがない。

そして絶えず満たされないからストレスも多くなるし、
ついには生きることに疲れてしまったりする。


by. 桜井章一氏

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今の社会には求めるものがあまりにも多い。
求めてばかりいる環境において求めない行為には勇気がいる。

しかし、するべきことをした上で求めないという姿勢でいれば、
どれだけ無駄なことをこれまで求めていたかがよく見えてくるはずだ。


by. 桜井章一氏

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求める行為には一時の満足があるが、
求めない行為には持続する納得感がある。

満足は心の欠乏をすぐに生みだすが、
納得は心が欠けることがない。

求めないことでやってくるものは無限にある。


by. 桜井章一氏

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目標というのは、
人が生きる方向づけをする羅針盤のような役目を担っている。

実際目標がすべてなくなれば行き場のない不安と不自由さを
逆に感じるだろう。

それをいかに持つかで人生の方向は変わってくる。
だからこそ目標は上手く使わないといけない。


by. 桜井章一氏

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また目標はなるべく多く持っていたほうがいい。

一つだけの目標を熱心に追い求めると
思考や行動の柔軟性がなくなってくる。

もし一つの目標を何としても実現したいと思ってもその周辺に衛星のように
それを補足する目標をいくつも飛ばしておくといいだろう。


by. 桜井章一氏

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目標を引き算にするには、
目標を前に置くのではなく横に置くことだ。

目標は遠くにあり過ぎるとただの期待で終わったり、
おかしな妄想になってしまう。


by. 桜井章一氏

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目標というものは前に置くと、
遠い目標でも遠近感がぼやけてけっこう近くにあるんじゃないかと
錯覚したりするのだ。

反対に近い目標だと必要以上に遠くに感じて
プレッシャーに感じることもある。

だが、目標を横に置く感覚でいると、遠くても近くても、
あるいは小さくても大きくても目標の現実感がよくわかる。


by. 桜井章一氏

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目標を横に置くと目標のために過程を
おろそかにするようなこともない。

目標を前に置くと、姿勢が前のめりになって視界が狭くなるが、
両脇に置けばそんなことにはならない。

余裕を持って目標と併走できるのである。


by. 桜井章一氏

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