■「育てない」から上手くいく -講談社-
肝心なことは、何事も適度であることが大事だということです。何よりも大事なのは、心をのびのびとさせることです。壊れやすい生ものを前にしているんだという思いを忘れないことです
肝心なことは、
何事も適度であることが大事だということです。
やはり気配を出さない優しさ、
何気ない心遣いのほうがうれしいじゃありませんか。
ちょっと外れたところで見ていて、
必要なときに必要なサービスをさっと入ってきて提供する。
「スープの冷めない距離」
という言い方がありましたが、
人間関係もこんな適温が大事です。
by. 桜井章一氏
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これと同じで、
大人は子どもを邪魔しない距離にいて、
いざ何かあったらすっと入ってくる。
暑苦しい過剰なサービス(教育)をするのでなく、
あくまで子どもも気づかないくらいの何気ない気配り、
目配りが、子育てする上では必要なのです。
早期教育は言ってみれば、
ブロイラーを肥育するような感覚があります。
あまり目先ばかりの成長を追い求めると、
子どもは質の悪いブロイラーのような人間になってしまいかねません。
by. 桜井章一氏
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子どもの成長は身体も頭もしかるべき時間をかけてなされるのが自然です。
しかしながらそうした不自然さゆえに、
上手くいかなかったり、
ひずみとなって後で残ったり、
といったこともよく起こります。
しかし、子育てにまつわるいろいろな知識や情報よりも、
自分の生活の中で得られる実感のほうがよほど大事なのです。
頭を情報や知識で動かす前に、
自分の手で子どもに触れて何かを感じるということが子育ての基本です。
by. 桜井章一氏
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とにかく五感で感じる。
子どもを知るのに、
「情報」というどこからやってきたのかわからない他人の言葉は、
必要最低限のものさえあればいいのです。
子どもを育てるとき、
その子が何に興味を持っているのか観察することはとても大事です。
子どもが興味を持っていることに大人は極力合わせてあげることです。
by. 桜井章一氏
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でも私は花よりも葉っぱや根っこに生命の本質的な美しさを見てしまうタイプ。
小さいうちから感性の豊かな子どもに育てようという人もいますが、
すでに子どもは感性が豊かだし、
自分で自然に育てているんです。
大人はそれを観察して、
放っておくぐらいの感覚でもいい。
こんなに小さな手(赤ちゃんの手)に大人の大きな願望をかけてどうするというのだろう。
by. 桜井章一氏
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「今、君は君であるだけで十分だよ」、
そう思いたくなる。
小さい体に息づいている柔らかな感性をできるだけ損なわないよう、
大人は注意深く観察していってあげることだと思います。
しかし、いまの世の中、
感情や感覚よりも理性的な論理や理屈が重んじられるあまり、
感情の歯車が調子を乱されることが多いのではないでしょうか。
自分の中の感情の歯車がおかしくなってしまったら、
人間関係はたちまち上手くいかなくなる。
by. 桜井章一氏
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こういうことは普段から、
「みんながいるのだし、おまえ独りじゃないぞ」
と言ってもダメです。
本人が孤独の実感を深く味わった後に、
手を差し伸べてあげないと心に届かない。
そう声をかけると、
Y君は大粒の涙を流しおいおいと泣きました。
涙を流せたのは、
感情の歯車がきちんと回ったからで、
父親の影から一瞬でも出られた証拠です。
by. 桜井章一氏
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もっともそれで、
彼の歯車が正常に動き続けるわけではありません。
また元に戻るかもしれない。
それでもいいのです。
私が彼ら道場生にしてあげられることは、
彼らの感情という焼け石に水をかけ続けることです。
親や学校の教育でがんじがらめになり、
さまざまな大人の思惑で傷つき、
感情の歯車が軋み、
摩擦熱を発して焼け石のような状態になっている子がたくさんいます。
by. 桜井章一氏
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そんな子に向けてただ私は水をかける。
じゅっと一瞬で水は蒸発します。
それを人は徒労と言うかもしれません。
しかし、私は焼け石が
「いつかしっとりと濡れてくれたらいい」
という期待なんかしていません。
ひやりとした感じ、
「あれ?何か違うぞ」
と思える瞬間があればそれでいい。
by. 桜井章一氏
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感じられる一瞬に、
その子が自ら気づく学びの芽があるかもしれないからです。
けれども、最近は、
子どもが「すくすく」
と伸びやかに育つ環境が少なくなっているように感じます。
「早く願い通りに育って、自立して欲しい」
と期待する親が多いからです。
でも、人間は促成栽培されるものじゃありませんし、
工場でものをつくるように効率よく育てようと思っても、
生き物ですから、無理があります。
by. 桜井章一氏
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やっぱりそこは手間ひまかけるしかないんです。
孫がお菓子を崩すのに飽きたのは、
満足が得られたからです。
自分の遊びを心ゆくまで堪能したからです。
もし、「ダメ」と言われて途中で止めさせられたら、
そこに気持ちが残ってしまう。
by. 桜井章一氏
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「さえぎられた」という不満を自分の中に溜めてしまう。
むしろ、そういう些細なことにさえしょっちゅう満足を覚えられないで育っていくと、
「自分の気持ちを理解されていない」
という飢餓感のほうが肥大し、
情緒面に影響を与えます。
生ものは絶えず変化しますし、
こちらの思い通りになってくれるものではありません。
手間はかかって当然です。
by. 桜井章一氏
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親は手間をかけるのを面倒くさがるのではなく、
むしろ楽しむようにすればいいと思います。
子どもは大人のルールや考えの枠に入りたがりません。
なぜなら子どもの心と体はひたすら自由だからです。
それなのに親というのはつい専門家の言うことを真に受けて、
真っ白な心に大人の常識をたくさん入れようとする。
by. 桜井章一氏
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何よりも大事なのは、
心をのびのびとさせることです。
そうした心の土台をつくることです。
そのためには、
手間ひまをかけることです。
壊れやすい生ものを前にしているんだという思いを忘れないことです。
by. 桜井章一氏
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