世の中の万事万物は、わかりにくいことだらけです。その中で人が生きていくということは、矛盾を矛盾として生きるということです

■ツキの正体 ~運を引き寄せる技術~ -幻冬舎-

世の中の万事万物は、わかりにくいことだらけです。その中で人が生きていくということは、矛盾を矛盾として生きるということです

言葉もろくに通じずに、
文明に取り残されていた頃、
社会はうまくいっていた。

ところが、
英語という共通語が入ってきて、
文明が侵食されていき、
グローバリズムとやらに組み込まれたとたん、
社会の流れが狂い始めた、
というのです。

人間は、意思の疎通を図るために言葉を持ったはずです。

楽しく生きていくために文明を発達させた。


by. 桜井章一氏

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皮肉なことに、
その言葉が、文明が、
いまや高度化しすぎて、
力を持ちすぎて、
人間を脅かすようになっている。

人間の感性を狂わせてしまっているのです。

そもそも、
言葉というのは怖いものです。

人の心を縛り、
自由な変化を許さない力を持っている。


by. 桜井章一氏

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愛という言葉に縛られた行動を取るようになる。

愛にすがって、
愛で崩れていく。

そこには何の意味もないのに、
愛という言葉を振り回すことによって、
無理やり意味がつけ加えられたのだとしたら、
その言葉に縛られるなんて、
本末転倒です。

そんな言葉を使わなければ、
もっと自然な関係でいられたのに、
言葉が人間を不自然にしてしまう。


by. 桜井章一氏

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耳当たりのいい言葉ほど、
人を引きずり回す魔力を秘めていますから、
気をつけて使わなければいけません。

そういうものにだまされないためにも、
自然の中のウソ偽りない営みの数々に、
もっともっと関心を払ったほうがいいと思います。

頭は言葉にだまされることがあっても、
身体は言葉になどごまかされません。

自然な動きを知っている身体は、
非常に正直なので、
ごまかしは通用しないのです。


by. 桜井章一氏

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身体の声を聞けば、
それが本当かどうかわかる。

自分にとって必要なものか、
それとも危険なものなのかを感じることができる。

そういう身体をつくっておくと、
狂った流れにのみ込まれる心配はなくなるのです。

言葉の怖さは、
何でもかんでもわかりやすく分類してしまう点です。


by. 桜井章一氏

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仮にある物事、
ある行為が、
善でも悪でもあるとします。

どちらともいえない。

しかし、それに思い切って「善」という言葉を貼りつけてしまえば、
「これは善である」という観念が独り歩きし始める。

もともと言葉なんて不完全なものなのに、
本質のほんの一部分しか伝えられないものなのに、
それを過信しているがために、
おかしなことになってしまう。


by. 桜井章一氏

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世の中の万事万物は、
わかりにくいことだらけです。

その中で人が生きていくということは、
矛盾を矛盾として生きるということです。

あらゆることを自分のわかる範囲に収めておきたい、
と求めるのは傲慢かもしれません。

人間って、
そんなに単純にはできていなくて、
いいこともすれば悪いこともする、
どちらの面も五分五分に持っているものだと思います。


by. 桜井章一氏

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人間の身体を作っている遺伝子の中には、
何十万年もの長い時間をかけて、
悪の部分がいやおうなく蓄積してしまっています。

認めたうえで、
まだいいことしかしなかった時代、
歴史を作る以前の何十万年か前の時代に、
ときどきさかのぼっていって、
懐かしい自分と出会って気持ちをあらためることくらいがちょうどいいのだと私は思っています。

自分の中だけでなく、
世の中にも、表があれば裏があり、
正があれば負が必ずある。

表も裏も知り、
正も負ものみ込み、
あるがままのものとして丸ごと、
淡々と引き受けて、
その中でまっとうに生きていく、
それが人間だと思います。


by. 桜井章一氏

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すべては円のように循環しているのです。

その流れに沿って、
流されたり泳いだり浮かんだりしながら、
自然体で生きていければいい。

そうやって肩の力を抜いていれば、
流れの速さや方向が、
身体で感じられるようになるのです。

自然の動きができない人は、
気持ちの変化がすぐに身体に表れてきます。


by. 桜井章一氏

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いい手が入って喜んでいるなとか、
危ない牌を切りたくて怖がっているな、
ということが、
身体のいろいろなところにはっきりと書いてある。

目の動きや見開き方、
呼吸の荒さ、
手の力の入り具合、
指がどのくらい持ち上がったか、
どんな牌の音を立てているか……。

一挙一動、
そのすべてに気持ちがくっきりと出てしまうのです。

だから、私は、
相手の手牌や捨牌を見たりもしないし、
推理しようともしません。


by. 桜井章一氏

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ただし自然に座っていて、
相手3人から漂ってくる気配を感じていれば、
いまその場で何が起ころうとしているのか、
ひとりでにわかってきてしまう。

相手がどの程度のレベルかということも、
麻雀を打つ前からわかります。

座ったときの雰囲気や身体の使い方、
牌のさばき方を見れば一目瞭然です。

やってみなければわからない、
というレベルもあれば、
やらなくてもわかるというレベルもある。

それは身体でわかるのです。


by. 桜井章一氏

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身体は、
相手の表面に出ていない本当の強さを、
敏感に感じ取ります。

強さというのは、
表に出たら強さじゃない。

わからない人にはわからない、
奥底のほうに潜んでいるものです。

「強さをだすな。
決して表には出すなよ。
難しいことだけど、
それが本当の強さなんだ」
私は道場生のトップクラスに対して、
こんなアドバイスをします。


by. 桜井章一氏

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これを少しわかりやすく言い換えると、
「リズムで打つな。
リズムはあるんだ。
リズムはあるんだけど、
リズムを取っちゃいけないよ」
ということです。

麻雀というのは、
4人の打ち手がオーケストラになって、
ハーモニーを奏でる遊びです。

そのハーモニーとリズムの中で、
それぞれが持ち味生かせればいいわけですが、
「リズムに頼ってはいけない」と私は教えている。

リズムを取ると、
ケツが上がったり、
肩が下がったりするからです。

身体がリズムに負けて、
不自然な動きになる。


by. 桜井章一氏

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強さもリズムも表面に出さず、
奥底のほうにそっとしまっておける、
そういう身体を持っている人は、
循環している自然の一部になれる人です。

そして、
自然が持っている何か大きな力によって、
いざというとき、
後押ししてもらえる人なのです。

手の柔らかさが半端ではないからです。
柔らかさは強さにつながっています。

硬さはもろいけれど、
柔らかさは強さを内包しています。


by. 桜井章一氏

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