平常心とは、日々の暮らしを大切にする当たり前の気持ちのことです。日々の些細なことも丁寧に大事に扱う。バランス感覚を持つには「全体観」、「相互感」、「時の感覚」の3つが必要

■人生を変える美しい勝ち方 -宝島社-

平常心とは、日々の暮らしを大切にする当たり前の気持ちのことです。日々の些細なことも丁寧に大事に扱う。バランス感覚を持つには「全体観」、「相互感」、「時の感覚」の3つが必要

小場の時は小場という流れをとらえて、
それに即した上がり方をすればいいのです。

小場の時に大きな手を繕うとすると、
場にすくわれてミスをすることになります。

荒れ場は大きな手で攻めていくべきなのに、
そこで堅く小さな手で上がろうとして負けてしまうことがあります。

このように流れの性質を読むことも大きなポイントです。


by. 桜井章一氏

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さらにいい流れに乗ったら、
それを切らさないようにすることが大切です。

いい流れに乗った時は何もしなくても自然に前へ進めることもありますが、
そのうち流れは変わってきます。

いい流れであればその流れを変えないように工夫することです。

そのひとつとして重要なのは次の準備をすることです。


by. 桜井章一氏

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よくない流れになってしまった時も、
一つの矢、二の矢、
三の矢とあきらめずに放ち続けることが大事です。

しかるべきタイミングで放っていけば、
流れはまたいいほうへ変わってきます。

こうした「かげり」が出るのは、
ごく自然なことです。

風や潮などの自然の流れが一定方向だけに動かないように、
勝負の流れも絶えず向きが変わったり、
強弱が変わったりします。


by. 桜井章一氏

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つまり、調子のいい相手とぶつかった時は、
この「かげり」の瞬間をとらえて攻めるとチャンスが出てくるということです。

「かげり」は対応を間違えると大きなミスにつながります。

けれどもそんな時は動揺せず、
しっかり基本の動作と基本の心構えをなくさないようにするのです。

そうすればまた数十分で調子の波は元に戻ってきます。


by. 桜井章一氏

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どれだけ速く、強く相手を攻撃出来るか。
その条件はシンプルであることです。

コトバでも何かを伝える時、
長く喋るより、
簡潔なほうが相手に届きます。

相手に伝わるのが遅いのは、
考え過ぎてものごとを複雑にしているからです。

遅ければいろいろなものが相手に届く手前で落っこちしまいます。


by. 桜井章一氏

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不必要な思考が入ればその分、
スピードは遅れるし、
相手に準備与えるスキが生じるので攻めの力も弱くなります。

勝負におけるシンプルさとは、
多彩な攻めをしないということではありません。

下手に考えてムダな動きをしないこと、
テクニックがあってもそれに頼りすぎないということです。

理に適った動作はムダがなくてきれいです。


by. 桜井章一氏

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逆にいえばムダのない動作は理に適っているので、
スピードもあって力を最大に発揮します。

テクニックに頼ってはダメという意味は、
テクニックに頼るとそれにとらわれ小手先の攻撃になるからです。

強い攻めとは、テクニックではなく全身を使って向かっていくものです。

型を否定したところに雀鬼流はあります。


by. 桜井章一氏

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というのも、勝負における型というのは、
相手に攻められる資格を作るし、
また攻めていくパターンも限定されるからです。

どんな攻めにも対応できるのが強さですが、
型を持つとこのような限界を作るのです。

逆に限界を持たない意識は、
型も持つことを拒みます。

「このあたりが限界かな」
と思ったらそこに枠が出来、
ひとつの型になっていきます。


by. 桜井章一氏

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限界がきても「まだ」と思うことで、
新しい型が出来、
そこにまた限界が生まれます。

そうやって次々とたくさんの型と限界を作っていくことが強さになるのです。

平常心とは何があっても揺れない心のことではありません。

平たくいえば、
日常という「常」を大事にする心のことなのです。


by. 桜井章一氏

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日々の暮らしを大切にする当たり前の気持ちのことです。

日々の些細なことも丁寧に大事に扱う。

「準備、実行、後始末」をきちんとこなしていく。

その小さな「常」の積み重ねの延長に本番があります。


by. 桜井章一氏

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そうやって「常」の心を持っていれば、
日常と本番の間の距離が近くなり、
本番も「常」の状態になるのです。

「心を揺らすまい、平常心をしっかり持とう」と思っても、
人の心は必ずどこか揺れます。

けれども「常」の心があれば、
修正がきいて心の真ん中に戻れるのです。

勝負はこのヘソをとらえたほうが勝ちにつながりますが、
それにはバランス感覚が求められます。


by. 桜井章一氏

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バランス感覚を持つには、
全体をとらえる「全体観」、
相手との「相互感」、
流れの変化をとらえていく「時の感覚」
の3つが必要です。

一部分に向かい過ぎると他人が目に入らなくなり、
自己中心的な考え方をする人間になっていきます。

勝負の流れの中では、
一部分を見ながらも「全体観」を持つことが大事です。

「相互感」は相手の変化だけをとらえるのではダメです。


by. 桜井章一氏

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相手の変化だけにとらわれると自分は変わっていないような気になりますが、
自分も変わっているのです。

相手と自分との関係は、
相手と自分の両方の変化の上に成り立つものです。

「相互感」とは、
そうした感覚で変化をとらえていくことです。

「時の感覚」は流れを見極める感覚です。


by. 桜井章一氏

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余計な思考を入れず、
素直に流れを感じていくことが大切なのです。

真剣な勝負において、
怒りの感情はマイナスです。

冷静でなくなると、
相手のこともよく見えなくなるし、
勝負の流れをとらえることも出来ない。

勘も動きも鈍くなって、
相手から見ればスキだらけの状態になります。


by. 桜井章一氏

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