水や風の流れといったものに思いをいたし、その自由自在に変化していく有様をあらためて心の目で見つめる。それは柔らかく構え、自然と変化する流れにまかせるという姿勢を持つということだ

■桜井章一の折れない心のつくり方 -ぱる出版-

水や風の流れといったものに思いをいたし、その自由自在に変化していく有様をあらためて心の目で見つめる。それは柔らかく構え、自然と変化する流れにまかせるという姿勢を持つということだ

「考える」ことをよしとするふつうの人からすれば、
私が瞬間、瞬間の感覚から閃いた言葉を発していくことは、
奇異な感じがするだろう。

まさに水中に深く潜って酸欠状態になるような感じだ。

そんな深みにはまりたくないから、
私は「浅い人」でいようと思う。

私にとって「浅い人」の格好のモデルは、
自然のなかに棲む魚や鳥たちだ。


by. 桜井章一氏

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彼らだったら、
こんなときどうするか?

何を感じるか?
そんなことを想像してみる。

彼らが従っているのは、
自然の摂理だけである。

お金も知識も何もないところで、
彼らの本能は自然が発する声に反応して動くだけだ。


by. 桜井章一氏

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私が大切にしたいのは、
そのような野生の本能なのだ。

知識をたくさん持ち、
よく考えることをよしとする人たちからすれば、
本能に従順に生きるなどあまりにも浅いことに思えるだろう。

しかし、浅く生きると、
複雑な人間社会のなかで溺れて悩んだり、
さ迷ったりすることはなくなる。

考え込んで深い人になろうと思うほど、
心は揺れ続けるだろう。


by. 桜井章一氏

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どこをどう見渡しても、
解決への道筋は見当たらない。

そんなとき私は、
自然の動きを思い出したりする。

水や風の流れといったものに思いをいたし、
その自由自在に変化していく有様をあらためて心の目で見つめる。

だが、その柔軟性こそ大きな気づきを与えてくれるのだ。


by. 桜井章一氏

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水や風の変幻自在な変化を感じ、
それを応用すれば、
どんなピンチのときであろうと抜け道は見つかる。

自分自身が水や風のようになれば、
ピンチを前にして固まってしまった心は柔らかくほどけ、
そこから抜け出るべく変化を始める。

自分自身が水や風のようになるとはどういうことか。

それは柔らかく構え、
自然と変化する流れにまかせるという姿勢を持つということだ。


by. 桜井章一氏

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ピンチに対して過度に構えるのも、
そこから逃げるのも、
いずれもピンチを必要以上に大きくさせてしまうことに変わりない。

ピンチのときはむしろピンチの懐に入っていって、
それが自然と変化するのを半分待つような気持ちでいるほうがいい。

そこから生まれる余裕から変化にそった柔らかい対応が可能になるのだ。


by. 桜井章一氏

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私がいいたいのは、
著名人の不倫ごときものに、
人々の関心が異常なほど集まってしまう状況は、
ちょっとへんではないかということだ。

不倫報道に限らず、
多くの人は自分たちにまったく関係のないことに、
いちいち関心を煽られすぎなのではないだろうか。

そうした問題(社会問題、環境問題、高齢化社会、原発問題など)にはさほど関心を持たずに、
自分とは直接何の関係もない他人に嫉妬や怒りなどの悪い感情抱いたり、
あるいは憧れたり、
欲望したりといったことを日々繰り返す。

そんな人がいまの時代、
多すぎるのではないか。


by. 桜井章一氏

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現代はまさしく「気が散る時代」なのだ。

気が散って散って仕方がない環境にわれわれは生きているのだ。

気があちらこちらに向かっていれば、
存在の輪郭はボヤけて不安定極まりないものになるだろう。

当然心は落ち着かず、
絶え間なく揺れざるをえない。


by. 桜井章一氏

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そんな状態であれば、
仕事や人生において狙うべき的が視界に入っていても、
的を外してしまう。

気があちこちに散らされるということは、
他人へ遣う気も回ってこない。

人に気を遣う余裕がなければ、
自己中心的な生き方をする人は増えていくばかりだ。

では、気を散らさないで生きるにはどうすればいいか。


by. 桜井章一氏

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それにはまず、
自分にとって本当に大切と思えるものを見つけることだろう。

それができる人は、
余計なことに関心を持つ必要もなければ、
余計なことをする必要もない。

それにしてもなぜ日本人は自己肯定感が低く、
自信がない人が多いのか。

簡単にいってしまうと、
親や学校が自発性を育まない教育をずっとしてきたからだと思う。


by. 桜井章一氏

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子どもがやりたいことをさせず、
親や先生が望むことを上から力で押しつけるような教育をすることが多いのだ。

親や先生が子どもに望む価値観というのはたいてい、
この社会にとってよしとされるものだ。

こんな単純な価値観(いい成績、いい会社、評価される立場、豊かな生活)に合うような子どもを育てることが、
いい教育だと思っている人は少なくない。

躾にしても、厳しく躾けられた子どもは親のいうことを聞く「いい子」
になるかもしれないが、
どこかこじんまりとして自発性に欠ける人間になる可能性が高くなる。


by. 桜井章一氏

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むしろそんな親に反発して、
いうことを聞かない子どものほうが将来は伸びるものだ。

親にできることは、
せいぜい子どもが自分の意思を自由に育み、
好きなことを見つけ、
それを追い求めるための環境を用意してあげることくらいと思っておいたほうがいい。

そのため、親のいうことをできるだけ聞くように子どもを強く”管理”したがる。

そんな親の下で育った子どもが、
自分に対する信頼感や自尊感情といったものを果たして育めるだろうか?


by. 桜井章一氏

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自己肯定感が低かったり、
自信がなければ、
おのずと心だってモロくなる。

折れない心を育むには、
教育というレベルから考えていかないといけないのである。

だが、勝負に勝ち続けているうちに、
勝ちにこだわっている自分に次第に違和感を覚えるようになってきた。

勝負に勝ったことぐらいで一体どれほどの意味があるんだろうか?


by. 桜井章一氏

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勝者は、必ずその反対側に敗者を絶えずつくりだす。

勝つことは手放しでいいというものではない。

そして、勝つことではなく、
強さを求めるという姿勢で麻雀を打つようになっていった。

勝つことにこだわりすぎる人は、
結果において勝ちさえすれば手段を選ばなくなるものだ。


by. 桜井章一氏

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