■修羅場が人を磨く -宝島社-
「気付き」という感覚、感性を持っている人はひらめきにも恵まれやすい。私にとっては、まわりを楽しませることができなかったら自分の負けなのである
狩猟をしながらその日、
その日を生きていた太古の人類は
「生きるために大地の恵みをいただく」
という観念しかなかったと思う。
しかし、農耕文化の発達により
「定住の地」と「貯める」
ということを覚えた人間は、
以後、文明の発達とともにそれまではなかったさまざまな欲や、
確証や保証というものを求めるようになった。
いったん得たものは失いたくない。
そんな気持ちが強すぎるとそれに比例して喪失感も大きくなる。
by. 桜井章一氏
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金や権力、名誉といった過去に手にした
「よいもの」は手柄として、
あるいは能力としてとっておく。
このように過去を引きずるクセのようなものが現代人は強すぎるがゆえに、
ミスや失敗、過去に受けた被害といった
「悪いもの」がトラウマとして残ってしまうのである。
未来に対しては、
人は夢や希望というものを掲げ、
それを追いかけていく。
そしてその感覚が強すぎると、
今度はその夢や希望が成し遂げられなかった時に大きな挫折感を味わうようなことになる。
by. 桜井章一氏
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何かを追いかけていたつもりが、
実は何かに追い込まれていたりするようになるのだ。
過去のトラウマも、
成し遂げられなかった挫折感も、
その衝撃の度合いを低くするためには、
過去と未来というものにかけている心の度合いを少しずつ下げればいい。
つまり「過去は惜しまず、未来は思わず」
という感覚を持って、
今この瞬間を大切にすれば、
現実の世界で受けるショックも最小限に抑えられ、
何かあったとしてもパニックにならずに済むのだ。
過去・未来という観念は人間の長所でもあり、
欠点でもある。
by. 桜井章一氏
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人は過去の失敗から何かを学び、
それを未来に生かしていくことができる。
その際、大事なのは過去と未来にかける比重をちょっと変えることなのだ。
その場の状況を俯瞰し、
客観的になることで、
解決法というのは見えてくる。
その時に大切になってくるのがひらめきや勘、
機転といった瞬間的創造力だ。
by. 桜井章一氏
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ひらめきを生む感覚を養うには、
日頃からいろんなことに気付ける人でなければならない。
「気付き」という感覚、
感性を持っている人はひらめきにも恵まれやすい。
船が通る航路は道路のように目に見えないが、
普段から気付きを大切にしてれば
「この辺じゃないか」
という感覚が生まれる。
航路を探し出す感覚があれば、
他の船に巡り合う確率はぐんと上がる。
by. 桜井章一氏
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日常の生活の中で、
その「気付く」感覚は磨いていける。
家族が髪を切ったことに気付けなかったり、
部屋の装飾がちょっと変わったことに気付けなかった人は、
そういったことから気付けるようにすればいい。
昨日は咲いていなかった道端の花の存在に気付く。
そういったことを繰り返していくことで、
気付きのための感覚が広がり、
いろんなことに気付けるようになるのだ。
by. 桜井章一氏
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しかしそれは麻雀を気付きの感性で捉えている場合であって、
麻雀を単なる点数稼ぎのゲーム、
ギャンブルとしてだけで捉えてるようでは気付きは磨かれていかない。
誰もが「厳しい」「苦しい」
と感じる修羅場であっても、
日頃から遊び感覚を身につけていればそんな状況をゆるくすることが可能だ。
私は子どもの頃から、
どんな状況であってもまわりを楽しい空間にしたいと思って生きてきた。
私にとっては、
まわりを楽しませることができなかったら自分の負けなのである。
by. 桜井章一氏
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逆に、スキあらば一泡吹かせてやろうといつも思っていた。
普通だったらここでは避けようとするのだろうが、
私は逆にその拳に頭を近づけていった。
出席簿で殴られそうになれば、
その出席簿に頭をこすりつけるように近付くといった具合だ。
これは試していただければ分かってもらえると思うが、
殴ろうとしているところに体を近づけられるとうまく殴れない。
by. 桜井章一氏
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仮に殴れたとしても威力は半減する。
そうやってしつこく頭を差し出してくる私を見て、
先生もさすがに呆れ返る。
不思議なもので、
学校中から恐れられている先生も、
そういったことを続けていくことで私のクラスでは暴力を振るわなくなった。
「あの野郎、面白いやつだな」
というものを残さないと、
こういった場は収まらない。
by. 桜井章一氏
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問題を起こす中にも面白さを入れれば後腐れもないから、
いつまでも引きずるということもない。
面白さがあったから先生のプライドも傷つかず、
その場が丸く収まった。
恐怖というのは逃げたり避けたりすると増大していくが、
懐に飛び込んでしまうと意外にその恐怖は薄まるものだ。
私が先生の懐に飛び込んでいったように、
修羅場というものも逃げようとしないでその中にどんどん入っていけば客観的に物事が見られるようになる。
by. 桜井章一氏
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逃げれば逃げるほど、
修羅場は修羅場となっていく。
修羅場を収めるには、
その中へ飛び込んでしまえばいいのだ。
その時、後押ししてくれるのが遊び心である。
遊び心のない人、
心に余裕のない人は、
修羅場を和らげることはできない。
by. 桜井章一氏
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そんな時に小金を持った人が投資しても、
結局巨大な金の力に吸い取られてしまう確率のほうが高い。
今の世界経済は巨悪ばかりが儲かるようになっているのだ。
それゆえに今は、
小金持ちの投資はつぶされる時代である。
投資でボロ設けできる時代はもう終わった。
by. 桜井章一氏
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もっと広い意味で投資を考えると、
株や不動産だけなく、
「学問をする」といったことや
「資格をとる」といったことも自分への
「投資」として考えられる。
しかしながら、今の時代は投資そのものが通用しない時代になってしまった。
「乞食と坊主は三日やったら止められない」
という言葉もあるように、
ホームレスになったら気が楽になることだってある。
欲を張り「得よう得よう」とする行為は、
結局「一人勝ち」のシステムにすべてを吸い取られるだけである。
by. 桜井章一氏
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今という時代を修羅場と感じている人がいるのであれば、
現代社会のそんな裏のシステムを理解しておくだけでも対処法が違ってくるはずだ。
人間誰しも平和に暮らしたい、
穏便に暮らしたいという思いがあり、
それを世の中では「幸せ」
と表現したりもする。
だからこそ、その幸せな形を壊された時に
「あんた何で壊したの?
せっかくここまで作ってきたのに」
という思いが生まれ、
それがさまざまな問題につながっていくのだ。
形作ったものが苦労したものであればあるほど、
それを壊された時の衝撃、
そしてそこから生じる怒りというのは大きくなりやすい。
by. 桜井章一氏
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