■桜井章一の「ぶれない生き方」 -PHP研究所-
抜きんでた力量を持った者が現れないまま、どこの世界でも、勝ったり負けたりを繰り返しています。これは、自分の領域を侵さえれることを許さない、真の強者が存在しないからです
親は、愛情とやさしさで育てていると思っているし、
もちろん子どももそうだと思っています。
それならば、「悪」なんて身につかないはずでしょう。
悪い気持ちとか、
悪い考えなんて入らないはず。
ずるい人間なんて育つはずがないのです。
by. 桜井章一氏
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それなのに、なぜか悪臭をまき散らかす大人になってしまう。
それは、やさしさを履き違えてしまったからです。
優しい手料理だと思っていたものが、
本当は甘い手料理だったからです。
やさしさと甘さは似ています。
by. 桜井章一氏
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自分の都合で変えている甘さを、
やさしさだと思ってしまう。
やさしさは間違えやすいのです。
勘違いをしてしまうことが往々にしてあります。
だから温かいほうがいいのだと、
娘にも話しました。
親が子に出す手料理は、
温かさに十分気をつけなければなりません。
by. 桜井章一氏
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それは熱すぎても、
ぬるすぎてもいけない。
適度な温かさの人と触れ合って、
はじめて温もりを感じるのです。
温かい人と触れ合うことが、
スキンシップなのです。
私は「温かさ」というものを大事にしています。
by. 桜井章一氏
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麻雀の中で、温かさを持つというのは、
そこに男の友情を保つことです。
男の友情というのは、
ホームランではなく、
犠打を打つことだと思っています。
麻雀でも、点数やお金を稼ぐことではなく、
犠打によって相手にやる気を、
エネルギーを起こしてやることが大切なのです。
そこには信頼関係が生まれます。
by. 桜井章一氏
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雀鬼会では、それら(信頼を裏切ったり、ずる賢さ)を全部取り除いて打ちます。
そうすると、自然とそこに数字の勝ち負けではなく、
内容が、「絵」が見えてくるのです。
人間というのは、大人も子どもそうですが、
とかく「数」を価値観の中心に置きます。
しかし、数を追いかけることで、
自分たちを苦しめている。
by. 桜井章一氏
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苦しんで負けるか、苦しんだうえで、
イヤな気持ちの、
後味の悪い勝ち方をしてしまうかのどちらかなのです。
ですから雀鬼会では、
数というものをできるかぎり取っ払ってしまいます。
結果ではなく、いい仕事をしているかどうか、
トップならトップの、ラスならラスの、
それぞれやるべき仕事がきちんとできているかどうか、
内容で評価するのです。
運がないぶん、
その二人はトップを争っている者よりも真剣なのです。
by. 桜井章一氏
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抜きんでた力量を持った者が現れないまま、
どこの世界でも、勝ったり負けたりを繰り返しています。
これは、自分の領域を侵さえれることを許さない、
真の強者が存在しないからです。
そして、やさしさを優先させるのが人の道であるという風潮の中、
ややもすると、強さは、
野蛮とか無謀、無知と同義であるかのごとき扱いを受けています。
人は知識と強さのどちらも欲しいはずなのに、
知識だけに甘んじて、
強さの部分ではだれかに依存している。
by. 桜井章一氏
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しかし、強さを捨てた人たちがやさしさという鎧に身を隠しても、
そこには真のやさしさなどなく、
甘さしか残らないのです。
人は、真の強さを持っただれかが現れてくることを、
心のどこかで待ち望んでいます。
それならば、いつまでもやさしさの鎧に身を包んでいないで自分が強い人になろうとしなければなりません。
真のやさしさは、
強さの中からのみ生まれてくるのです。
by. 桜井章一氏
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そして、心の温かさは万能なのです。
役人は、安定した道にいるようですが、
実際はとても情緒不安定です。
形の安定を望んでその仕事に就いた人が多いのでしょうが、
この世の中に本当のところ、
安定などないのですよ。
真面目すぎると、
おもしろくない人になってしまいます。
by. 桜井章一氏
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その両方を否定するような、
バランスのとれた人間にならなければいけない。
真面目とユーモアがくっつてこそ、
本当の温かさが生まれるのです。
みんなと一緒になって馬鹿をやったり、
騒いだり、ソフトボールをしたりという、
私のそうした遊びの部分というのは、
土に還っているということです。
そうすることで、
理不尽なことは決して許せないといった、
真面目な側面とのバランスをとっているのです。
by. 桜井章一氏
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ところが、一部の例外は別にしても、
人気ランキングの上位企業というのは、
だいたいそのときがピークであって、
業績がもっと上がることはもちろん、
現状維持もほとんどないのです。
それどころか、下降することのほうが多い。
この世に落ち着ける場所なんてありません。
世の中は、意に染まぬことやトラブルはつきものです。
by. 桜井章一氏
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それらを避けて、人間、
ただ安定を望んではいけない。
勇気を持って不安定を受け入れ、
飛び込んでいく姿勢が大切です。
これから起こるであろう不安定なこと、
ストレスに対して強くなること、
ぶつかっていける人間になることが求められます。
安定を求める生き方を考える人は、
そこでもうダメ。
by. 桜井章一氏
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安定を欲しがるのは、
早く歳をとっている証拠です。
私に言わせれば、
失うことを恐れない者こそが、
真に男の中の男ということなのです。
人間という生きものは、
「得ること」にのみ価値を置き、
仕事や学問に取り組んでしまっています。
その結果、「失うこと」を恐れ、
いつもおびえながら生きてしまうことになるのです。
by. 桜井章一氏
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