■きみに努力はいらない -大和書房-
成長の段階で身につけたものは、周囲に還元していけばいいではないか。経済という概念を一度自分の中から排除してみることは大切なことだ
木を眺めていると、
いつも「すごいな」
と感ぜずにはいられない。
木はあんなに大きな図体をしているのに、
太陽と土から得る力だけで育っていく。
成木になれば実を付け、
それを生き物に食糧として提供したり、
土に戻したりして生命を継いでいく。
努力をしているような素振りを見せることもなければ、
見返りを求めることも一切ないのだ。
by. 桜井章一氏
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木々のような生き方は、
本当に清々しいなと感心する。
私たちも、
大地にどっしりと根を下ろした木のように生き、
成長していったらいい。
成長の段階で身につけたものは、
周囲に還元していけばいいではないか。
給料が少なければ、
その範囲の中で暮らしていけばいいだけだ。
by. 桜井章一氏
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木々を見れば、
そのことはよくわかる。
別の場所に移りたいとか、
栄養がもっと欲しいなんてことを訴えることはない。
その場にいながら思いっきり枝葉を伸ばし、
1年を通してイキイキと生長しているではないか。
どれだけ儲けられるかという価値観が最上のものとして崇められ、
そうした社会規範の中で汲々としながら何十年も働き続けることになるのだ。
by. 桜井章一氏
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だが、そんな生き方がしたくて、
あなたは生まれてきたのだろうか。
会社で真面目に働くことが社会貢献になっていると考える人は多いと思う。
ただし、その行為自体は木々が自然界に対して行っているような貢献とは少し違う。
そうすること(自然の中に身を置いてみる)で、
社会の中で”常識”とされているものが実は正しいことではないことに気がつき、
迷いがふっと晴れることもあると思う。
by. 桜井章一氏
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人間が短期間のうちに決めた常識やルールは、
何千年、何万年の時を経て形作られた自然界では実にちっぽけなものでしかない。
人間のゴールは、
成功することや出世すること、
お金をたくさん稼ぐことではない。
自然の中に身を置くことで、
そのことを深く実感してみるといいだろう。
私が考える生活学は、
必要最低限のものだけを稼ぎ、
自然の中で穏やかに生きていく方法だ。
by. 桜井章一氏
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経済という概念を一度自分の中から排除してみることは大切なことだ。
経済という考えが生活の中にずかずかと入り込んでくると、
本来あるべき人間としての生活がどんどん崩されていく。
世界中で起きている争いといったものの多くが、
経済的な要因から起きていることは説明するまでもないだろう。
つまり、人の命よりも天然資源や労働力といった経済的要素のほうが大切ということだ。
by. 桜井章一氏
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頭の中が経済観念にとらわれてしまうと、
人間は悪魔にもなり得るのである。
私の考える生活学では、
他人を搾取することなく、
必要最低限のものだけを稼ぎ、
これまで人間が得てきた知恵を最大限に活用して、
自然の中で穏やかに生きていく方法を学んでいく。
やはり実体験から語られる言葉には力があるし、
そこには嘘がなかった。
当然ながら、
そうした話には、
お金や経済の話は出てこない。
by. 桜井章一氏
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この流れ(経済の力が非常に強い)を押し戻そうにもそう簡単なことではないだろう。
だからこそ、少しでもいいから抗ってほしいのだ。
そのほんの少しの抵抗する力が、
心に新たな光をともす。
すべての人が1つの方向に向いて突っ走っていくことはほど恐ろしいものはない。
by. 桜井章一氏
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実は、契約やコンプライアンスといった概念からかけ離れていたところに、
日本の素晴らしさが潜んでいるように感じるときがある。
(職人の世界)
若い連中は、
親方や先輩のやっていることを注意深く眺めながら、
怒鳴られつつ、
仕事を覚えていく。
つまり、教科書やマニュアルで勉強するのではなく、
見て実践して体得していくのだ。
実は、これは非常に高度な学びのテクニックと言っていい。
by. 桜井章一氏
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まさにグローバリゼーションとは真逆の感覚である。
若い働き手が親方の仕事する姿を見て何かを感じ取り、
その仕事を自分のものとしていく能力は忘れてはならないものだ。
職人の手によって作られたものと言って私が思い出すのは、
鉋だ。
ところが、千代鶴の鉋を見ていると、
どういうわけか、
武者震いがしてくるのだ。
by. 桜井章一氏
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おそらく私は、
その鉋に込められた魂に反応していたのだと思う。
とにかくその鉋からは、
とてつもない存在感が発せられていた。
これほどまでの品質のものを作るには、
相当の時間がかかっているはずである。
作り手は、
納得のいかないものは作らないだろうし、
鉋を作るための素材選びも厳選しているはずだ。
by. 桜井章一氏
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こうした日本の清廉な価値観を、
私たちはもっと誇りに感じていいと思う。
問題は、
衣食住の心配がなくなった時点からその先をどう生きるかである。
彼らは、
他者から奪い取ることばかりに気を取られ、
自分の打ち方には一切の配慮をせず、
醜い姿をさらけ出してしまっていることに気がついていないのだ。
そうしたずる賢い打ち方を超越し、
自身の能力を引き上げて勝っていくことを目指している。
by. 桜井章一氏
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そもそも、
顧客のことを第一に考えていたら、
利益は生まれないはずだ。
「お客様のことを考え……」
と言いながら、
最大限の利益を自分のモノにするというのが、
企業のやり方だ。
そんな組織に長いこと身を置けば、
知らず知らずのうちにずる賢さが体に染みついてくる。
だが、そうした組織で働いているうちに、
誰もがその「汚さ」に違和感を抱かないようになってしまうのだろう。
by. 桜井章一氏
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だが問題は、
衣食住の心配がなくなった時点からその先をどう生きるかである。
ここがその人の人生の分岐点で、
会社に言われるまま必死に働き、
とにかく給料を上げることに重点を置くか、
自分というものに重点を置き、
会社の言いなりにはならないと決めるかで、
その後の人生が大きく変わる。
どの道を進むのも本人の判断次第だが、
衣食住に困らなくなったら、
それ以上のことは上乗せ部分であると思う感覚を身につけておくべきだろう。
これをせずに、
欲望を満たすことが成功の証だと思うようになると、
次第に私利私欲にとらわれてしまう。
by. 桜井章一氏
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